幼稚園や保育園などでは子どもについての専門の仕事として幼稚園教諭や保育士という職業があります。子どもと接する仕事の魅力は、子どもの成長を間近で見ることができる仕事へのやりがいと、自分自身も子どもとともに成長できる仕事から得る充実感でしょう。感受性が豊かな子どもたちと過ごす毎日や子どもの笑顔が日々の楽しさや新鮮さにつながる点も魅力の一つです。そんなさまざまな魅力を持つ職業、幼稚園教諭と保育士になりたいと思っている人が事前に知っておきたい2つの職業の違いについてご説明します。
幼稚園教諭や保育士が働く職場にはさまざまなところがありますが、代表的な場所に幼稚園と保育園があります。同じ、子供と接する仕事をする職場と言っても施設によりその目的は全く異なっています。
保育園は親の仕事や病気などの理由により家庭で十分に保育できないと判断された場合、親の代わりに子どもの保育をすることが目的とされています。基本的には0歳から小学校などの初等教育機関に就学していない未就学児までが入園対象となっています。対して、幼稚園は満3歳以上で未就学児の子どもが教育を受けるために通う場として設置され、標準で1日4時間という教育時間の定義づけもなされています。
幼稚園ではお誕生日や遠足、七夕やクリスマスのような季節行事など一年を通してさまざまなイベントを行います。役員活動や保護者会への参加のほかバザーや各種イベントへの保護者の参加も多く、子供だけでなく保護者と接する機会も少なくありません。対して保護者が働いているケースが多い保育園の場合、保護者が参加するイベントは平日の日中を避けてスケジュールが組まれるため必然的に実施回数も少なくなります。
園での普段の指導は、それぞれの設立目的に合わせて異なります。教育をする場である幼稚園では園ごとにさまざまなカリキュラムを組んで学習指導にあたります。幼稚園によっては早い時期から英会話教育に力を入れているところもあります。一方、保育園は基本的に保育の場であるため勉強という形での指導はありません。しかし、子どもの頃の学びは一概に勉強することだけではありません。工作やお絵かきなど知的好奇心を活かした遊びから子どもたちにさまざまな学びの機会を与えます。指導の方針は幼稚園か保育園かに関わらず、各園の方針によるところも多いため、実際に働く際には自分の考えに合った園を選ぶことが大切です。
目的の異なる幼稚園と保育園はそれぞれ国の管轄にも違いがあります。幼稚園は教育を受ける学校であると定義づけられているため文部科学省が管轄しています。一方、保育園は児童福祉法に基づいた保育の適切性を求める福祉の施設という位置づけであるため、厚生労働省が管轄を行っています。管轄が異なる幼稚園と保育園で働くためには、資格もそれぞれに必要なものを取得しなければいけません。
幼稚園教諭になるためには幼稚園教諭の免許が必要です。幼稚園教諭の養成課程がある短期大学、大学、大学院などで所定の専門課程を受け必要単位を習得すると免許を取得することができます。保育士資格を取得している場合には保育士として3年以上の実務経験があれば幼稚園教員資格認定試験に合格することで幼稚園教諭二種免許を取得することができます。さらに平成27年からの期間限定の特例として、保育士として保育園や幼稚園などの該当施設で3年かつ4,320時間以上の勤務経験があれば、大学での既定8単位習得と各都道府県教育委員会の教職員検定通過により、各都道府県の教育委員会から免許を受けることが可能となります。
保育士になるためには2つの方法があります。より最短に取得することが可能となる方法は保育士試験を受験し合格する方法です。毎年実施される保育士試験では筆記試験と実技試験に合格することが求められます。もう一つの方法は、厚生労働大臣指定の専門学校、短期大学、大学、大学院などで必要な課程を終了することです。
子どもと接する仕事がしたいという夢はあるものの具体的に幼稚園教諭と保育士のどちらになるべきか、なかなか決断しがたいという人もいるかもしれません。そのような場合には、ダブル取得を目指すのもひとつの方法でしょう。専門学校や短期大学、大学などでは、必要な課程をすべて終了させることで両方の免許を取得することが可能な場合もあります。また、通信教育や資格試験受験などを併用することで学校に通わずに取得することも可能です。両方の免許を持っておくことで、人生で大切な職業の選択をじっくりと行うことができます。