最近は働く女性の増加から保育の問題をどうするかが盛んに議論されています。同時に、人手不足から保育士の需要も高まっています。しかし、保育の仕事に興味があっても自分の家にも小学生の子供がいて保育士として働くのは無理だという方も多いでしょう。しかし、そんな方でも仕事が可能な保育ママ制度というものがあるのをご存知ですか?知らないという方のためにその概要を説明します。
保育ママ制度とは、両親が働いているなどして子供の世話ができない場合に、個人が有料で子供を預かるサービスのことです。『家庭福祉員制度』などとも呼ばれ、厚生労働省が2000年から実施しています。ひとりが預かることができるのは3人までで、対象年齢は生後57日以上3歳未満になります。ここまでの説明で、ベビーシッターと何が違うのと思った方もいるかもしれませんが、ベビーシッターは基本的に保護者の家に出向いて子供の世話をします。それに対して、保育ママは、預かった子供の世話を自分の家でするのです。また、チャイルドマインダーという類似のサービスがありますが、こちらはイギリス発祥のもので民間資格を取得して仕事を行います。それに対して、保育ママは、自治体主体の公共サービスです。ただ、自治体によってその制度を導入しているところと導入していないところがあります。
【参考】育児のプロフェッショナル!ベビーシッターになるために
保育ママとして働く時間は原則として、日曜祝日以外の8時間です。仕事の内容は、保護者が連れてきた子供を預かり、トイレの世話、着替えなどの日常生活の手助けをしたり、お昼寝をさせたりするなどです。昼食は基本的に保護者がお弁当を持参しますが、おやつはこちらで用意をします。また、子供に絵本を読んであげたり、お話をしたりしてコミュニケーションを取るのも大事な仕事です。場合によっては、公園で遊びに連れていってあげたり、夏などはお風呂で水浴びをさせたりもします。いずれにせよ、なるべく子供がリラックスして楽しく過ごせるようにするのが大切です。やがて、夕方になると保護者が迎えに来るので、今日1日の子供の様子を伝えてお見送りをすれば1日の仕事は終了となります。
保育園で働く保育士と比べると自由度の高そうな保育ママの仕事ですが、実際に働くにはいくつかの条件があります。まず、年齢は25歳~60歳程度で、心身ともに健康であること。そして、保育士、幼稚園教諭、看護師、助産師、保健師のいずれかの資格が必要です。ただし、研修を受講したり、育児経験者だったりと、それに相当する能力があると自治体が認めれば資格がなくても大丈夫な場合があります。次に、我が子に就学前児童がいる場合は保育ママにはなれません。自分の子供に気を取られて仕事がおろそかになる可能性があるからです。同様の理由で介護が必要な方が自宅にいる場合もNGとなります。また、日当たりと風通しが良くて6畳以上ある部屋を保育専門に用意する必要があります。最後に、土日祝日を除く、午前8時~午後6時くらいまで働ける方というのが条件となります。ただし、細かい条件は自治体によって変わってくるので、開業を検討する前に問い合わせてみることをおすすめします。
保育ママの扱いは個人事業主となります。ただ、開業するには自治体の認定が必要なので、まずは募集を行っているかを確認し、行っていればそれに応募してみましょう。その後、書類審査や面接に合格すれば行政規定の研修を受講します。研修修了後、保育実習を行ってそれをクリアすれば保育ママバンクに登録されて開業が可能となります。しかし、これに関しても自治体によって差異がありますので、まずは最寄りの自治体に赴いて詳しい話を聞いてください。後は開業に向けての準備ですが、保育の部屋を確保しておもちゃを用意します。また、滑りやすい、転倒しやすいなどといった子供にとって危険なポイントがあれば、リフォームが必要な場合もあります。さらに、家具転倒防止装置や安全柵なども必要に応じて準備しなければなりません。それらの資金は基本的に自己負担ですが、自治体によっては開業資金補助がある場合があります。そして、最後忘れてはいけないのが確定申告です。青色申告をすれば節税効果につながるので帳簿や会計ソフトを準備し、開業までにやり方を学習しておけばよいでしょう。