保育士の人手不足が何かと話題になっている現在。しかし優しい先生の存在が、子供たちの将来の夢として「保育士」につながるようで、保育士が将来なりたい職業の毎年上位にあるのはうれしいことです。
そんな保育士になるためには「保育士養成学校」に通って免許を取得する必要があります。そこで今回は、保育士養成学校とはどんなどころでどんなことを学ぶのか、わかりやすくまとめてみました。
保育士養成学校とは、簡単に言うと保育士になるための勉強ができる大学や専門学校、短期大学のことです。保育士になるための科目・課程を履修すると、卒業と同時に保育士資格を取得することができます。そのため高校を卒業し、学生生活を楽しみながら通う年齢の生徒が多く、短大や専門学校では順調に卒業すれば20歳で、大学では22歳で保育士の資格を取ることができます。
教育課程は学校によりさまざまですが、「児童家庭福祉 」「児童の食と栄養 」「保育の心理学」といった乳幼児を育てるうえで欠かせないことを基本として学び、その他にも子供たちと楽しく日々を過ごせるよう、リトミック、音楽、体育などの教養科目を学びます。
▼参考:第5回保育士養成課程等検討会
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/dl/s0226-5i.pdf
一年目では保育にかかわる知識や、福祉関係の理念などを学習します。
例えば昔の子育て論と現在の子育て論はどのように変化してきたのか、代表的な児童心理学者の文献から学ぶこともあれば、現在の教育の現場から見た問題点などを議論する場もあります。
また子供たちと一緒に過ごすうえでは歌う時間やお絵かきの時間も必要です。学校によってピアノの授業が厳しかったり、動物の絵を上手に書けるポイントなども教えてもらえたりと、いわゆる「図工」「音楽」といった授業を多く学びます。
また専門学校では保育士免許だけを取得するところが多いのですが、大学や短期大学になると「幼稚園教諭免許」や「教員免許」が取得できる学校も多く、そうした免許の取得種類にもより学ぶことは変わってきます。いずれにせよ1年目は体を動かした授業だったり、講座を受けるような授業だったり、そこから出される課題テストが多い時期とも言えます。
4年生大学以外での保育士養成学校では、この2年目で保育士資格を取れるように勉強も集大成となります。そのため実際に保育現場に出て、ちゃんと役立てるような専門知識を学びます。
例えば赤ちゃんに対しては正しいミルクの飲ませ方、おむつ替えの方法など。乳幼児に関しては食事の与え方から年齢によってどのような遊びを取り入れるべきかなど。
多くの学校が2年目に「教育実習」を取り入れており、実際の保育園に行き現場でさまざまな職業体験をさせてもらいます。いきなり赤ちゃんを任されるといったことはなく、まずは学校で赤ちゃんの人形を使ったおむつ替え方法などを実践し、実習現場で先輩の先生に手ほどきを受けながら実際に赤ちゃんに対応して学んでいきます。
実際の乳幼児と接するのは2年目が多く、1年目で学んだことを生かして現場で実践していくのですが、ここで多くの人が保育の難しさや面白さを学ぶことができるのです。
保育士養成学校のメリットといえば、なんといっても卒業と同時に保育士資格が取得できることでしょう。最近では通信講座などで保育士免許を取得する人も増えていますが、自分一人で保育の勉強をするのはなかなか難しく、実技や実習科目のための時間を確保しなくてはならないなど、実際のところハードルはやや高いようです。その点保育士養成学校では入学と同時に保育士になるための用意がされており、充実した授業内容、教育実習などで得られるアドバイス、学校によっては就職先のあっせんも行ってくれるので安心です。
一方のデメリットとすれば、卒業と同時に幼児教育以外の免許を取得することは難しく、一般企業への就職を希望したときに不利になる可能性があります。
しかしたとえ保育士の道に進まなくとも免許があればいつかは保育士として活躍することもでき、ともに学んだ仲間や実習経験が残るのは大変良い経験と言えそうです。
【関連ページ】保育実習のアレコレ~大変だけど楽しい!~